地震がなぜ起こるのか?建物がなぜ壊れてしまうのか?
地震の被害を抑えるためには、地震について正しく理解することが重要です。
地震は地下で起きる岩盤の「ずれ」により発生する現象です。
日本周辺では、海のプレートである太平洋プレート、フィリピン海プレートが、陸のプレート (北米プレートやユーラシアプレート)の方へ1年あたり数cm の速度で動いており、陸のプレートの下に沈み込んでいます。
参照元:気象庁
日本周辺では、上記のように複数のプレートによって複雑な力がかかっており、世界でも有数の地震多発地帯となっています。
(下図:1960年から2011年にかけての日本付近で発生した地震の分布図と 日本付近のプレートの模式図)
参照元:気象庁
地震には大きく分けて3つのパターンがあります。
①「本震-余震型」
最初に大地震(本震)が発生し、その後、本震よりも規模の小さい地震(余震)が引き続いて発生するパターンです。最も多い地震のパターンがこれです。
②「前震-本震-余震型」
「前震-本震-余震型」は、①「本震-余震型」の地震活動に先行して、本震よりも規模の小さな地震活動(前震)が見られるパターンです。
③「群発的な地震活動型」
「群発的な地震活動型」は、一連の活動の中で抜きん出て規模の大きな地震がなく、「(前震-)本震-余震型」の明瞭なパターンは認められないものの、地震活動が活発になったり穏やかになったりしながら、一定期間続くというものです。
しかし、実際に地震が発生している際、この地震がどのパターンであるかについては、その地震活動が終わるまでは判別できません。大地震が発生した後に、それより規模の小さな地震(余震)のみが発生して「本震-余震型」となるのか、途中でより規模の大きな地震(本震)が発生して「前震-本震-余震型」となるのかは、一連の地震活動が終わるまではわからないからです。このため、最初の大地震と同等もしくはそれ以上の規模の地震が発生する可能性もあることにも注意が必要です。
大きな地震の後には、多くの場合、その近くで引き続いて多数の地震(余震等)が発生します。普段から大きな地震に備えることはもちろんですが、いざ大きな地震が発生した場合には、その後引き続いて発生する地震にも注意する必要があります。
平成28年(2016年)熊本地震の際は、最初の大きな地震(マグニチュード6.5)の約1日後に、さらに大きな地震(マグニチュード7.3)が発生しました。
そして、初めの地震に耐えた住宅が、2度目の地震によって半壊、倒壊するなど甚大な被害が発生しました。
地震への準備、対策には、複数回の大きな地震が来ることを考えた対策が必要になります。
震度
現在、気象庁が発表する震度は震度計の計測震度を用いて表しています。
計測震度自体は加速度波形を元に演算されているため、同じ最大加速度であっても
地震の継続時間と含まれる振動数の違いにより計測震度(震度)が異なることとなります。
震度階
気象庁が規定している値で阪神淡路地震以降見直しされ、
0〜4・5弱・5強・6弱・6強・7の10段階に分かれます。
気象庁震度階 | 計測震度 | 人間 | ライフライン |
---|---|---|---|
0 | 0.5未満 | 人は揺れを感じない。 | ― |
1 | 0.5~1.5未満 | 屋内にいる人の一部がわずかな揺れを感じる。 | ― |
2 | 1.5~2.5未満 | 屋内にいる人のほとんどが揺れを感じる。眠っている人の一部が目を覚ます。 | ― |
3 | 2.5~3.5未満 | 屋内にいる人のほとんどが揺れを感じる。恐怖感を覚える人もいる。 | ― |
4 | 3.5~4.5未満 | かなりの恐怖感があり、一部の人は身の安全を図ろうとする。眠っている人のほとんどが目を覚ます。 | ― |
5弱 | 4.5~5.0未満 | 多くの人が身の安全を図ろうとする。一部の人が行動に支障を感じる。 | 安全装置が作動し、ガスが遮断される家庭がある。まれに水道管の被害が発生し、断水することがある。 |
5強 | 5.0~5.5未満 | 非常な恐怖を感じる。多くの人が行動に支障を感じる。 | 家庭等にガスを供給するための導管、主要な水道管に被害が発生する事がある。 |
6弱 | 5.5~6.0未満 | 立っていることが困難になる。 | 家庭等にガスを供給するための導管、主要な水道管に被害が発生する。 |
6強 | 6.0~6.5未満 | 立っていることができず、はわないと動くことができない。 | ガスを地域に送る為の導管、水道の配水施設に被害が発生する事がある。 |
7 | 6.5~ | 揺れに翻弄され、自分の意志で行動できない。 | 広い地域で電気・ガス・水道の供給が停止する。 |
マグニチュード
震源地での地震の大きさを表す尺度です。
一般に震源が深くマグニチュードが大きいほど広域に揺れが伝わります。
※マグニチュードが同じでも震源の深さが異なると地表の深さが異なると地表の激しさは異なります。
※震源が深い方が広く拡散。
振動数
振動する速さのこと。1秒間に繰り返す回数を表し単位はHz(ヘルツ)を使います。
一般的な地震は2Hzから10Hzが主成分と言われています。
加速度
地震の加速度を表す単位はGal(ガル)を使います。
980Gal = 980cm/s2 ≒ 1G
阪神淡路大震災、中越沖地震、東日本大震災とも1000Galを超えた波形が記録されていたことがわかっています。
<Gal>
加速度の単位で 1Gal = cm/s2 です。
地震の分野では一般的に用いており、新計量法による国際単位系(SI)でも用途を限定する非SI単位系として、
重力加速度」「地震」には猶予期間なく、使用が認められています。